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滞在許可証出来ました。

 10月1日にこちらに来てからはや3ヶ月弱、ようやく滞在許可証ができまして、今日もらってきました。フランスの滞在許可証については、フランス語講座を受けなければならないとかいうことで色々混乱が生じているようですが、我々の例をご報告したいと思います(以下は個人的体験と、暇なときに調べた情報に基づいているに過ぎないので、責任は持てません。誤りの点などはご教示ください)。

 そもそも、多くの体験談によると、まず大変なのは申請段階で、朝からシテ島にある警視庁の窓口に並ぶ必要があるようです(パリの場合)。ただ、我々の場合は、こちらの受入大学を通じて申請することになっていたので、こうした苦労はしなくてすみました。
 申請が無事終わると、滞在許可証が発行されるまでの間の仮の書類として、レセピセ(récépissé)を受領することになります。これはよく仮滞在許可証と訳されており、そのように機能しているようですが、法的には申請を受理したことを証する書類に過ぎないと思われます。もっとも、我々がこれを受領したのは11月下旬のことで、すでにかなり時間が経過していました。

 12月初め、私には大学の担当者を通じて、妻には郵便で召集状が届き、妻は12月21日の午後1時、私は同日午後2時に出頭せよとのことでした(なぜ微妙に時間が違う?)ので、バスティーユ広場近くのANAEM(Agence Nationale de l’Accueil des Étrangers et des Migrations 「外国人・移民受入庁」と訳している例を見たことがあります)のパリ地区の事務所に出向きました。最近の移民法改正で取扱いが変わり、混乱が生じているといわれているのはこの段階のことです。1時少し前に到着すると、入り口ドアは閉まっており、20人ほどが路上で待っていました。アフリカ系の人がやや多そうでしたが、白人やアジア系の人もそれなりに来ていました。
 2006年7月24日法により、「フランス滞在を初めて認められる外国人又は16歳から18歳までの間に適法にフランスに入国する外国人であって、かつ、継続的にフランスに滞在することを希望する者は、フランス社会への共和主義的統合の用意をするものとする」という規定が設けられ、これらの外国人は原則として、フランス国家と「受入・統合契約(un contrat d'accueil et d'intégration)」を締結する義務があるとされています(外国人入国・滞在及び庇護権法典L311-9条1項、2項)。これによって外国人はフランスの基本的な諸価値を尊重する義務を負うと共に、フランス国家は外国人に一定の便宜を提供する義務を負うことになります。
 受入・統合契約を締結した外国人が負う具体的な義務としては、公民教育、及び必要と判断された場合のフランス語教育があります。これらは後日行われるものですが、公民教育は1日のプログラム(無料)で、法律の規定によれば、フランスの国家諸制度、共和国の諸価値(とりわけ男女平等とライシテ)を説明することとされています(上記法典L311-9条2項。なお、同法典R311-22条も参照)。この公民教育プログラムは、日本語でも行われるようです。フランス語教育(無料)が必要かどうかは、ANAEMに出頭した際に簡単なテストを行って判断することになります。
 さらに、この契約を締結した外国人は、希望すればフランス生活(住居、仕事の探し方、子供の学校の登録方法など)に関する基本的な情報を提供するプログラムを無料で受けることができます(上記法典L311-9条2項)。
 ところで、このような義務付けについては、特に駐在員を派遣する企業サイドから批判が行われ、それを受けて日本政府としても配慮を求める要望を行ってきたようです。また、契約締結義務には例外があり、たとえば、研究者向けの短期滞在許可証については、契約を締結する義務がないようです(上記法典R311-19条第1項a))。ということで、私は契約をしなくて良いようです。ただ、条文上若干の疑義があり、もしかしたら実は義務があったりして。ともあれ、私のほうは後で述べるような健康診断を受け、これまた後述するような警視庁出張所窓口であっさり滞在許可証を受領することができました。
 他方、これも条文上若干分からない点があるのですが、妻の方は義務があるようですので、一般的な手続きを踏むことになります。

 さて、実際には、まず、ANAEMの事務所に出頭すると、まず30人くらい入る部屋で'Vivre en France'なるビデオを見させられます(ANAEMのサイトでも見られます)。私は見なくても良いようでしたが、妻のために通訳をせよと言われて一緒に鑑賞しました。これは要するに上記の事柄を説明するビデオです。
 その後、フランス語のテストを受けます。これは、個別に担当者と面談をして口頭でのやり取り及び簡単なペーパーテストによって判断されるようです。妻の場合、どうも要求水準には達していないものの、現在語学学校に行っていることを考慮して合格と判断されたようです。
 そのあと、健康診断を受けますが、これはレントゲン撮影と問診という簡単なものです。
 最後に、フランス語テストのときとは別の担当者と面談をして、身上事項などについて質問されます。その際、前に述べたフランス生活に関する情報提供プログラム受講の意思を確認されましたが、辞退することとしました。この担当者は結構厳しい人で、最初は、彼女はフランス語の要求水準に達していないので、やはりフランス語講座を受講すべきだなどといっていましたが、私が法学をしに来たことが分かると、私もパリ1で法学部だったとか何とかで急にフレンドリーになりました。私は'scientifique'の資格で来ているのですが、この担当者はscientifiqueとは生物学とかそういうもののことで、法学も入るなんて知らなかった、などと耳の痛いことを言いだしたりしましたが、ほらscience juridiqueとか言うじゃないかなどと答えて、事なきを得ました。やれやれ。
 この手続きが終わると、ANAEMの事務所の一角に入居している警視庁の出張所の窓口で275ユーロ(高い?)を支払い、晴れて滞在許可証を手にすることができたのでした。

 どうでもいいですが、ANAEMは外国人を相手にするところで、かつフランス語ができない人が来ることを想定しているくせに、職員は皆さん普通に(つまり早口で)フランス語を話し(英語は話せるようですが)、通じないと腹を立て気味なのはいかがなものでしょうか。

 

 


 


 


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