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テール・フランス、またはフランス規制改革の一側面

 日本でも電話や電力・ガスなどのいわゆる公益事業の自由化というものが進んでいますが、フランスでもEUの政策に基づいて同様の事態が進行しています。この関係で、最近面白いニュースに接しました。日本でもおなじみのエールフランスが、これまたお馴染みのフランス版新幹線TGVの運行を検討しているというのです(下記記事参照)。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080705AT2M0501505072008.html
http://www.leparisien.fr/economie/air-france-lance-ses-tgv-08-09-2008-205543.php


 電力、ガス、電話などのネットワーク事業では、インフラ(電線、ガス管、電話線)とサービスとを別の事業者に担当させ、インフラは一定の独占を認めた上で、サービスには競争を導入するという自由化手法がとられますが、ヨーロッパでは鉄道も同様の方式で自由化が進みつつあります。フランスでも、線路の保有・維持管理会社(RFF)と鉄道運行サービスをするフランス国鉄(SNCF)とが既に分離されています。既に貨物列車は自由化されており、近く国際旅客輸送サービスも自由化される予定です。その後は国内旅客輸送サービスについても、新規事業者の参入が想定されており、実際、この分野の規制を行う独立行政委員会の設立が検討されているようです。
 今回のニュースは、エールフランスはこのような新規事業者の一つとして、フランスの大手公益事業者(日本でも水道事業に参入しているようですね)であるヴェオリア(Veolia)と提携して鉄道事業への参入を検討し始めるということのようです。

DSCN2023.JPGDSCN1811.JPG
 日本でも同様のことが言われます(東京・大阪は新幹線が圧倒的有利だが、岡山だったか広島だったかその辺りで航空機が逆転し、福岡になると航空機が有利となる)が、フランスでも、鉄道での移動時間が3時間以内の場合には、圧倒的に鉄道が有利で、航空機のシェアはおのずと限られるとされています。フランス国内で言えば、パリ・リヨン・マルセイユを結ぶ最大のドル箱路線では、国鉄がエール・フランスを遥かに凌駕するシェアを獲得しています。その他、ヨーロッパは狭いので、パリ・ロンドンなど、国際線でも鉄道の方が早く移動できる路線が多々あります(先週のユーロトンネル火災http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080912-OYT1T00123.htmで、しばらくは航空機利用の方が便利になるのでしょうか)。
 他方、ヨーロッパでは航空自由化が大々的に進み、航空各社間の安値競争が激しくなっており、名門エール・フランスといえども大きな影響を受けているはずです。今回のニュースにはこうした背景があるものと思われます。
 ついでに言えば、フランスの重電会社アルストム(Alstom)は、現在の国鉄TGV車両の後継となるAGV(automotrice à grande vitesse)の開発を進めており、今回のエールフランス=ヴェオリアの事業が実現すれば、フランス国鉄に先んじてAGVを導入する見込みだということです。料金競争がどこまで進むかは別として、鉄道旅行好きの方々には、面白くなりそうですね。


 


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