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フランスで見た北京オリンピック

 何かと競技外の話題の多かった北京オリンピックも、大会そのものは円滑な運営で成功裏に終わったようです。もちろん、フランスでもオリンピックの話題は連日大きく報道されましたが、日本での報道と比べると色々と違った点があるようです。


 まず、大会前には、チベット問題との関係で、批判的な報道が多かったようです。フランスに本部を置くNGO「国境なき記者団」が激しい抗議パフォーマンスを展開したこともあり、抗議活動の様子が大きく報道されました。躊躇しながらも最終的には開会式への出席を決めたサルコジ大統領の判断も、批判的に受け止められたようです。その他人権問題や、環境問題も取り上げられました。他方で、食の安全問題を取り上げる報道に接することはほとんど無かったように思います。


 しかし、競技が始まってしまうと、自国の選手の応援が中心になるのは日本と変わりません。もっとも、報道関係者でも競技関係者でもない人たちが大挙して番組を「盛り上げる」ということはなく、極めてオーソドックスな番組作りで、この点は好感をもてます。
 フランスの選手は、大会序盤、なかなか金メダルが獲得できず人々をやきもきさせたようです。フランス最初の金メダルは大会6日目の8月13日、レスリングのスティーブ・ゲノ選手によるものでした。その後もメダル数は伸びていくものの、金メダル数は日本を下回ったままで推移しました。前半もっとも盛り上がったのは水泳で、それは2人の有名選手の明暗がはっきり分かれたことによります。女子のロール・マノドゥ(日本では「マナドゥ」という表記が多いようですが)選手は、アテネオリンピックでは金・銀・銅計3つのメダルを獲得し、その後、2007年の世界選手権でも世界記録樹立のほか、6つのメダルを獲得したフランスのスター選手です。フランス代表選手の中でも1,2を争うスター選手で、北京でも活躍が期待されたわけですが、なんと、出場した4つの種目のすべてにおいてメダルどころか下位に沈み、ショックを与えました。涙ながらにインタビューに応じる姿が繰り返し放送され、引退も取りざたされました。他方、男子のアラン・ベルナール選手は、ここ2年ほどで台頭してきた選手のようですが、花形の100メートル自由形で金メダルを獲得したのを始め、4×100メートルフリーリレーで銀(これはゴール直前でアメリカに逆転され、惜しかった)、50メートル自由形で銅メダルと3つのメダルを獲得し、人々を沸かせました。ニュースを見ていると、メダルを獲得する瞬間を自宅(メダル有力なのに北京に行ってないんですね)でテレビ観戦する両親の様子や、盛り上がる地元(地元プールで泳ぐ子どもたちの絵も含む)の様子(ベルナールはフランス南部の小さな村の出身)が放送され、この辺は日本もフランスも同じなのだなあと妙に感心しました。
 その他、フランスの選手はお家芸で、日本でもにわかに盛り上がったフェンシングで2つ、自転車競技で2つの金メダルを獲得。日本でもなじみのある競技では、柔道では金こそなかったものの、有力国らしく銀2つ銅2つを獲得しました。
 大会後半は、日本でも「中東の笛」問題で話題になった男子ハンドボールで、フランスチームが史上初めて金メダルを獲得しましたことで話題になりました。フィガロ紙によれば、これはロサンゼルスオリンピック(1984年)以来の、団体スポーツでの金メダルだそうです。

DSCN1806.JPG
 終わってみると、フランスの獲得した金メダルは7個で日本(9個)を下回る10位、他方、メダル総数は事前予想の最上位シナリオに従う40個で、日本(25個)を大きく上回る7位となりました。この結果は、金メダルランキングとしては、ロサンゼルスより後では最悪のランクであるのに対し、メダル総数は1924年パリオリンピック以来の好記録ということで、評価は相半ばしているようです。

 *写真は、唯一のスポーツ専門新聞「レキップ」。スポーツ新聞といっても、日本のそれとは異なり、日本の一般紙のスポーツ面のような記事を全体にわたって掲載しているもので、文字通りのスポーツ専門紙です。レキップも普段は日本での野球の扱い以上にサッカー中心ですが、この期間中はさすがにオリンピック関連記事が紙面を占拠していました。ちなみに、日本のスポーツ紙は英国やドイツの大衆紙に近いと思いますが、なぜかフランスにはこの手の新聞は存在しません。
 


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