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シンポジウム「次回の憲法改正に期待するもの」

 4月14日(月)午後、「次回の憲法改正に期待するもの(La prochaine révision de la Constitution sur les institutions. Quelles attentes?)」というシンポジウムが国民議会の建物内で開催されたので覗いてきました。昨年の大統領選挙の際にも、新憲法への移行を主張する「第6共和制」派の候補者と、現行憲法の改正を主張する候補者とがいたようなのですが、日本にいた時には日々の授業準備などで手一杯で、ほとんどフォローしていませんでした。ところが、フランスに来てしばらくした頃、サルコジ大統領の諮問を受けて検討を進めていた有識者委員会(バラデュール委員会)の報告書が提出されました(2007年10月29日)。これについては既に紹介しましたが、最近になってようやく動きが見えてきました。すなわち、今年の3月19日に、政府はコンセイユ・デタに改正草案を諮問、近日中に政府の改正法案が公表され、初夏には憲法改正のための上下両院合同会議が開催される運びになっているようです。
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 今日のシンポジウムは、ヴェルサイユ大学の主催だそうですが、バラデュール委員会の委員も多く参加しているほか、フロアにも著名教授や著名政治家(80歳の誕生日を迎えたばかりのロベール・バダンテール上院議員の姿も)が何人も参加し、開催場所ともあいまってプレステージの高い集会のようで、平日の日中の開催だというのに、300名以上の参加申し込みがあったとのことです。日本でこの種の催しがあれば委員会の提案などの資料が配布されるところですが、そのようなものは一切なく、その代わりになぜか参加者名簿が配布されていました。
 バラデュール委員会の改正提案は執行府、議会、司法府の三権すべてに渡る77項目に上る詳細なものであり、政府の草案はそのすべてを取り上げたわけではないとはいえ多岐にわたります。今日のシンポジウムでは、プログラムを見ていただければお分かりの通り、包括的な検討を施そうという趣旨のようでした。ずぼらなもので、未だに委員会報告書をきちんと読んでいないのでなんともいえないのですが、今日の話を聞いている限りでは今回の諸提案の中でももっともインパクトの大きそうな項目の一つは、「違憲の抗弁」の導入という点だと思われます。これは、通常の訴訟の中で当事者に違憲の主張を認め、それを憲法院が審査するというもので、従来、法律成立前の違憲審査しか認められていなかったフランスにおいては、この改正が実現すれば大きな変化が予想されます。ただ、このような改革案は既に長年主張されてきたもので、その意味ではフランス人にとっても新味はあまりないようです。今回の話でも、最後の第4部は主としてこの話でしたが、所用があるのか関心がないのか分かりませんが、聴衆も半分近く引き上げてしまっていました。

・イントロダクション
  E.ソルニエ=カシア(ヴェルサイユ大学教授)
  G.ベルグヌー(国民議会評議官、ヴェルサイユ大学客員教授)

1.執行府:よりよく統制された権力?
  C.M. ピマンテル(ヴェルサイユ大学教授)
  J.-L. ブルランジュ(元ヨーロッパ議会議員、バラデュール委員会委員)
  G. カルカッソンヌ(パリ第10大学教授、バラデュール委員会会員)

2.議会:立法権及び統制権の強化?
  D. ブラン(ヴェルサイユ大学講師)
  J.-L. ワルスマン(国民議会議員(UMP))
  A. モントゥブール(国民議会議員(社会党))
  B. マチゥ(パリ第1大学教授、バラデュール委員会委員)

3.司法府:いかなる独立性か?
  T. クレイ(ヴェルサイユ大学法政学部学部長)
  P. ジェラール(公法教授、コンセイユ・デタ評定官、司法大臣官房長)
  A. モントゥブール
  D. ルソー(モンプリエ第1大学教授、司法官職高等評議会元委員)

4.市民の権利、市民と法
  E.ソルニエ=カシア
  A. ルヴァド(パリ第12大学教授、バラデュール委員会委員)
  J.-L. ブルランジュ
  D. ルソー

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 


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