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自転車で行くパリ

 このブログでは、記事ごとの閲覧数が表示されるのですが、それを見て分かることは、閲覧数の多いのはユニクロのパリ進出や美術館など、一般的なテーマであることが分かります(例外はうさぎの回(これは近日中に続編をお送りする予定です(といって既にだいぶ引っ張っていますが)))。前回、前々回のような個人的な体験を報告した記事では、有り難いことにいつも見て頂いている方々以外には不評のようです。無意味に脈絡なくルイ・ヴィトンとかメゾン・ドゥ・ショコラといったキーワードがあれば、閲覧対策ですので宜しくお願いします。

 ところで、2005年5月にリヨンで始まったのに続き(Vélo'Vというようです)、パリでヴェリブ(Vélib')といわれるレンタル自転車サービスが昨年夏に始まって半年ほどになります。私は来仏当初から愛用していたのですが、話題が尽きたら書こうと思っていて記事にするのが遅くなってしまいました。本当はヴェリブ導入の政治的背景やヴェリブの法的スキームについて調べてから書こうとも思っていたのですが、後回しにしているうちに話題が尽きたので、とりあえず個人的な利用レポートを書きたいと思います。

 そもそも、ヴェリブとはvélo(自転車)、libre(自由、無料)の合成語で、市内各所に設置された無人レンタルステーションで自転車を借り出し、目的地周辺のステーションで返却するというものです。このシステムの最大のメリットは、最初の30分は無料ということにあり、これはすなわち、パリ中心部内での移動であれば、無料で移動できるということを意味します。もっとも、中心部の移動は時間がかかり、例えば、私の自宅(9区)からパンテオン前の大学(5区)まで行くには30分弱を要します。

 利用料自体は30分間無料なのですが、会員になるには別途料金がかかります。これには短期会員(1日(1ユーロ)、7日(5ユーロ))と1年会員の別があり、短期会員は無人レンタルステーションの端末で操作すれば簡単に入会できますので、観光など短期滞在の方にもご利用いただけます。他方、1年会員は、郵送で手続を行う必要があるのですが、年間29ユーロという料金は極めて魅力的です。郵送で手続きを行う必要上、この支払には小切手が必要になります。小切手口座を開いていなかった私は、何とか窓口で手続ができないか区役所等に問い合わせたのですが、結局駄目なようで、小切手口座を開いた後の手続となりました。短期会員の場合、ステーションの端末(下の写真)に会員番号とパスワードを入力する必要がありますが、1年会員になると、JRのイコカ(東日本ではスイカ)のような非接触式ICカードになり、端末ではなく、各自転車の脇にある読み取り部分にタッチするだけでよいので、より使い勝手が良くなります。

 ヴェリブの自転車は、日本で言う「ママチャリ」に似たタイプですが、堅牢第一の設計となっているのか、ずいぶん重い感じがします。にもかかわらず、故障車も多いので、ステーションで自転車を借りる際には、チェックが欠かせません。まず、チェーンがついているか(!)、緩んでいないか、タイヤがパンクしていないか、といった点がチェックポイントです。ただ、変速システム(3段変速!)のワイヤが緩んでいたり、ホイールのバランスが微妙に狂っていたりするようなトラブルは乗ってみないと分からないので困りますね。ちなみに、故障車の場合にはサドルを後ろ向きにしておくというマナーが広まりつつあるようです。

 パリの道路事情ですが、狭い道が多く、また、一方通行がとても多いので、スムーズに移動できるようになるまでしばらくかかります。自宅から大学に行くのも、最適と思われるルートを見つけるまで複数の経路を試してみました。また、交通法規については、右側通行である点は日本と異なりますが、自転車は車道を走るという原則は日本と同様です。ただ、交通法規は、実際にどれだけ守られているのかということが重要です。日本では、自転車についても交通法規は必ずしもあまり守られておらず、最近では社会問題になっているようですが、フランスでは、歩行者はほとんど信号を守らないのが現状であるのに対し、自転車は歩道を走らない、一方通行を逆送しないといった点において、比較的交通ルールが守られているような印象があります。もっとも、大通りでは歩道はとても広い反面、自転車レーンは路線バスと共用とされているような状況を見ると、歩道を走らせてもらいたいという気持ちにもなります。

 とはいえ、地下鉄やバスを利用する場合よりも、街に直に接している実感があって気に入っており、ヴェリブは基本的には大変いいアイディアだと思います。ただ、問題もないではなく、その最大のものは利用状況の偏りだと思われます。つまり、すぐに想像できるように、エリアによって利用状況には一定の偏りがあり、例えば、中心街には朝には出勤者が多いので駐輪場所が足りず、夜は帰宅者が多いので自転車が足りないということがあります。また、坂の上だとか下だとかいう要素も重要です。通常は近接する他のステーションに行けばよい(最寄のステーションの端末で周辺ステーションの駐輪状況は確認できる)のですが、時にはエリアのステーション全てが満車ということもあって困ります。個人的にも駐輪場所がなく困ることはしばしばあるのですが、通勤に利用する場合や決まった時間に約束のある場合などにはより一層利用しにくいことと思います。
 また、これだけの数の自転車を完璧に整備することは不可能で、いわばベストエフォート型のサービスにならざるを得ないと思われますが、見た目には分からない問題が自転車にあり、それが原因で事故になったような場合にはどうなるのだろうかという気もしますが、この辺りの対策があるのかないかも含め、また後日ご報告したいと思います。

 


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コメント 3

yama

久しぶり。研修所で同クラスだったyamaです。
元気そうで何より。異国での生活を楽しんで帰ってきてください。
ところで、近々身を固めることにしました。
本邦におられれば出席してもらいたいところですが、
さすがに遠慮しときますわ。

じゃあの。また。
by yama (2008-01-30 22:57) 

kota

自転車が一方通行を守るってのは新鮮だね。日本では(交通法規に違反していようと)それがもっとも大きなメリットの一つと理解されている気がするから。サドルを回しておくってアイディアは秀逸だね。
by kota (2008-02-05 00:15) 

sog

yamaさんkotaさん、コメントありがとうございます。
yamaさん、そうなんですか。ついに、という感じですね。おめでとうございます。最近こういうのが多くて、式に出られないのはこれで3件目です。残念ですが、遠くからお幸せをお祈りしています。

kotaさん、そうなんですよね。道も狭かったりするので、自転車なのに渋滞にはまる、というわけのわからないことになったりすることもあります。そういう時(あるいはごく短い区間の一方通行の時)は、自転車を降りて押していけば歩行者なので歩道を行ける、という手もあります。
とりわけ今回の大統領選挙は盛り上がってるみたいですね。
by sog (2008-02-07 06:56) 

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