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講義が終わりました(シアンスポ③)

  以前お伝えしたフランスの違法ダウンロード対策法案ですが、6月10日に憲法院の判決が出ました。フランス人権宣言(1789年)11条の表現の自由はインターネットへのアクセスの権利を含むとした上で、違法ダウンロードを繰り返すユーザーに対して警告の上インターネットを切断するという制裁を独立行政委員会(Hadopi)に与えるのは違憲であるという判断で、国内外の大きな反響を呼んでいるようです。この件については、追ってもう少しフォローしてみたいと思います(以前も似たようなことを書いたような気もしますが・・・)。

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【憲法院の評議室】

 それから、6月中旬から下旬にかけて、3件ほど講演をさせて頂くことになりました。詳しくはこちらをご覧下さい。
 さて、今週でシアンスポのパリキャンパスでの講義もようやく終了し、2月のリール、4・5月のルアーブル、そして2月末から今週まで続いたパリの講義もすべて終了です。きちんとできたかは怪しいですが、とりあえず無事に終わってほっとしているところです。
 パリとルアーブルの講義は、日本で言う情報法のような内容でした。といっても、日本では情報法という科目はあちこちで開講されているものの、その内容はばらばらだと思います。今回は、憲法寄りの内容のものです。それから、最初はシアンスポ側から何を求められているのかよくわからず、日本法の紹介を中心とする企画を持っていったのですが、地域研究ではないのだからといわれ、扱う項目は同様でも、フランス法やヨーロッパ法と、アメリカ法、日本法を比較するというような内容に変更しました。とはいえ、準備期間もほとんどなかったので、それほど立ち入った比較はできませんでしたが。
 受講者は2年次の学生で、専門分化していないこともあり、学生の反応は様々のようでしたが、一部の学生は割と関心を持って聞いてくれていたと思います。後述のように最後にテーマ自由のレポートを課したのですが、こうした学生はかなり力の入ったものを出してくれました。
 シアンスポの成績評価は割と厳しく、出席要件のほか、3回のコントロール(小テスト、発表、レポート等)をしなければなりません。学生ごとにA4で1枚のシートに、点数、出席状況、受講態度などを記入することが講義担当者に求められており、なかなか大変そうです。
 コントロールについては、小人数クラスなので発表をしてもらうのが良いのでしょうが、発表を聞いて個別に評価するのは、語学的に難しいので、小テスト2回と最後に5-10頁ほどのレポート(テーマは講義に関係があれば自由)を課すことにしました。講義の最終回は、希望者にレポートの口頭発表(評価に無関係)をしてもらいましたが、4,5人の志願者があり、ゲソー法(ホロコーストを否定する言論を罰則付きで禁止する法律)、インターネット上の個人情報保護、障害者のインターネットアクセス(報告者は弱視のハンディキャップを抱えた学生)など、興味深いものでした。ほかにも、冒頭でも紹介したHadopi法の研究や数年前に問題となったムハンマド風刺画問題、さらに、留学生が多いこともあって自国の問題を検討することを奨励したためか、カナダやノルウェー、ドイツ、さらにはコロンビアなどの表現の自由やプライバシーに関わる問題が扱われているようで、中々興味深そうです。
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