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労働組合が過激化しています。

 先週、3月中旬に起きた、ソニー・フランスの社長が閉鎖予定の工場従業員に監禁された事件をお伝えしました。その際述べたとおり、この事件のメディアでの扱いはそれほど際立ったものではありませんでしたが、今週になって労働組合の活動の過激化を取り上げた報道にいくつか接しました。
 というのも、冒頭の記事にもあるように、この種の事件が最近になって立て続けに発生したからです。3M社の幹部が30時間にわたって監禁された事件、キャタピラー社の幹部4人がグルノーブルで24時間にわたって監禁された事件(冒頭記事の事件)、ピノー・プランタングループ(グッチ、プーマ、フナックなどが傘下に)のトップ、フランソワ=アンリ・ピノー氏がタクシーに乗ったまま50名ほどの抗議活動参加者に1時間にわたって取り囲まれた事件などです。
 過去にも過激な直接行動事件はあり、2000年には清算される化学工場の従業員が、有利な退職金を得るために硫化炭素を川に流出させた事件などが報道されています。しかし、新聞に掲載された識者の話によれば、フランスの労働組合は伝統的に、人間に対する暴力には否定的だったのであり、最近の一連の事件は従業員と組合幹部とに共有された絶望感の現れであるとのことです。
 興味深いのは、日本であればこの手の直接行動に対する社会的な評価は厳しいものとなると思われるところ、フランスではそうでもないことです。4月2日付メトロ紙には、街の声が掲載されていますが、「これはメディアの注目を集める手段の1つです。監禁された幹部は虐待されていないし、食事も与えられていますし。」(29歳男性)、「同じような問題に直面したら、私も立ち上がっていたでしょう。場合によってはこのような行動も理解できます。」(66歳女性)、「これは社会的対話の失敗の証拠です。2つの世界があり、それらは隣り合ってはいますが、相互理解の手段を見つけることが出来ないのです。」(24歳女性)といった具合です。
 また、たまたまテレビをつけたら放送されていた番組は、一連の問題について、左翼運動出身のジャーナリストや作家を集め、「こうした行動は正当化されるのか」などと議論していました。日本であれば、すぐ「理由は何であろうと暴力はよくない」ということになりそうですが、フランスではずいぶん違いますね。

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コメント 3

Kana

続報ありがとうございます!漸くメディア上も盛り上がってきたようですね~。日本だと団体交渉権やら団体行動権とやらで免責されうる行為かなんてお話もあったような。。。理屈はともかく(笑)、フランス人の熱い一面が垣間見られて面白いです。

by Kana (2009-04-05 17:38) 

sog

どうもです。
フランスでは直接行動が好まれるようですが、アメリカだとどうなんでしょう?日本ではすぐ「欧米」と一括してしまいますが、それなりに違うのでしょうね。
by sog (2009-04-06 20:11) 

Kana

うーん、在米期間たった8ヶ月ですが、あまり直接行動を好むイメージは今のところ受けていないですね。
去年の夏に1ヵ月間ヨーロッパで過ごし(その節はお世話になりました。)、その後LAに移動してきて、それなりに違いは感じることもありますね。アメリカは歴史的に大部分が移民で成り立っている国だから、こういう発想になるのかな~なんて思うこともあります。たとえば、これといったオリジナルの郷土料理がないとか・・・。
by Kana (2009-04-10 09:51) 

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