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ナンテール再び

 こんにちは。ここ数日フランスの新聞を読んでいなかったのですが、1月25日の産経新聞朝刊に「18歳に新聞1年間無料配布」という記事が掲載されていました。昨秋から開催され、今月報告書が出た「プレス三部会(États généraux de la presse)」の議論を受けてのものだと思いますが、この点については追ってご紹介する機会もあるかもしれません。                   http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090124/erp0901241245002-n1.htm
  http://www.etatsgenerauxdelapresse.fr/home/index.php
 ちなみに、「三部会」という言い方はもちろんフランス革命当時の全国三部会からとったものです。さらにちなみに、フランスでは、関係業界や国の代表がこぞって参加して当該分野の問題を議論する会議は最近多く、数年前に開催された「環境グルネル会議」は、1968年のゼネストの際に使用者、労働者、国の代表によりパリのグルネル通りにある労働省で締結されたグルネル協定にちなんだ命名です。また、自動車業界の苦境を話し合う、「自動車三部会」も立ち上がったようです。このようなネーミング法もフランスらしいですね。
  http://www.etatsgenerauxdelautomobile.com/

 ところで、前回、ナンテールで日本の話をするとご報告しましたが、1月22日(木)に行ってきました。大変マニアックなことで恐縮ですが、今回はこのテーマで行きたいと思います。どのような集まりなのか、行ってみるまで実はよくわからなかったのですが、大学院生中心のこじんまりとした集まりで、気楽なことは気楽なのですが、質疑が怖いなという印象でした。
 話の内容は、インターネットと表現の自由というテーマでしたので、まず、表現の自由の一般論をした後、現在進行中の情報通信法構想をめぐる議論を紹介し、最後にインターネットにより直接関係のある話題を紹介して終わることにしました。
 具体的には、表現の自由の一般論は、具体的には憲法の条文や「二重の基準論」の紹介が主たる内容です。情報通信法については、放送規制をめぐる従来の議論を見たあと、総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の報告書(2007年12月)とその批判の紹介をしました。インターネット法については、プロバイダ責任制限法の日仏比較をして、日本は自主規制に委ねる部分が多いことを述べた後、その具体例として昨年成立した青少年インターネット環境整備法の制定経緯(規制色の強い自民党案から自主規制中心への移行)を紹介しました。フランスでも特にインターネット規制では自主規制のようなものはあるのですが、自主規制の枠組に行政の代表を入れたりする傾向があるように思います。その意味で、自主規制というよりは共同規制であり、その意味で日仏にはなお違いがあるということを述べました。
 という話の内容は、どうにか理解して頂けたようで何よりでした。一応関心も持っていただいたようで、その後の質疑では、かなりたくさんの質問が出ました。特に関心が高かったのは最後の自主規制の話のようで、日本では業界からも各種報告書でも強く擁護されている自主規制方式ですが、私的利益が優先されてしまうのではないか、道徳主義的はでないのかといった懐疑的なコメントが多く出されていました。これは実は予想していたことなのですが、フランス語でどうしたら分かりやすく説明できるかということは考えていっていなかったので、あまりうまく答えられなかったのが残念でした。
 また、プロバイダの責任について、フランス法ではアクセス・プロバイダーとホスティング提供者とが条文上も区別されているのですが、日本法では両者の区別が条文上はない点も関心を呼んだようです。
 


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