SSブログ

フランス語学校のこと(上)

 もうしばらく前になりますが、パリ市主催のフランス語講座の修了証が送られてきました。今年の2月から6月まで、近所の小学校を会場にして週3回通い、修了テストを受けてようやく手にした賜物です。ということで、今回は語学学校の経験のお話をしたいと思います。以前エシャンジュの話を書いた際には「フランス語マスター法」と題しましたが、あまりマスターできていないので、今回は誇大なタイトルはやめときます。
 さて、そもそも、昨年10月にこちらに来て最初に通ったのはアリアンス・フランセーズ(Alliance Française)というところでした。この学校を選んだのは、その知名度(日本でも各地にありますね。後から考えれば、修習時代に大阪のアリアンスに行っていたこともありました)と立地(大学のあるパンテオン地区からリュクサンブール公園をはさんで向かい側の地区にあり、徒歩で通える)、さらに日本人が(相対的に)少ないだろうということが理由で、十分に情報収集しての選択ではありませんでしたが、授業内容がしっかりしていることを始め、特に決定的な不満はなかったので、4ヶ月ほどこちらにお世話になりました。アリアンスには「本科」とでも言うべきフルタイムのコースもあるのですが、さすがにそこまで語学学校にエネルギーをつぎ込むことはできず、「アトリエ」と総称されるコースのうち、午後の口頭表現のクラスに週2回計6時間通うことにしました。このクラスはテキストもなく、配布資料を基にひたすら口頭で意見を述べたりするものでした。その後、夜間のクラスに変わりましたが、こちらはテキストを使って総合的にフランス語をマスターしようというものでした。

alliance_francaise_1-2[1].jpg

 

 

 


 

 アリアンスは、1883年創立の伝統ある学校であるだけあり、ハード面でもソフト面でもそれなりに充実している印象があります。図書室にはフランス語教材が揃っていますし、カフェテリアではフランス各地の名物料理を取り入れたランチを(専用プリペイドカードを作れば)6ユーロ弱でとることができます。通っている間に3人の先生の授業を受けましたが、教授陣もしっかりしているように思いました。他方、講義の申し込みは1週間単位で可能(アトリエの場合))であり、短期滞在者には良いのでしょうが、学生の出入りが非常に激しく、せっかく世界中から来ているのに、親しくなる機会が少ないように思います。学校側もそのような機会を提供しようとする姿勢はないようです(「本科」の場合は違うかもしれません)。なお、費用の方は、最初に行った週6時間のクラスは週70ユーロ、次にとった夜間のクラスは週4時間で週49ユーロと、とても高いわけでもないが、半官半民の学校であることやクラスの人数が結構多い(10から15人くらい)割には安くはない、というところでしょうか。
 
 他方、パリ市は、パリ市民向けに市民成人講座(Cours municipale d'adultes)と称する主として職業訓練用の講座を開設し、外国人向けのフランス語講座だけでなく、フランス人向けの各種語学講座(日本語もあり)、コンピュータ関係、会計関係、料理、美術関係など190以上のクラスが開講されています。市民成人講座のパンフレットはA5版で310頁に上るものであり、14区には専用の校舎まで設けられているという本格的なものです。多くの講座は1年を2学期に分け、9月と1月に学生を募集しています(なお、外国人向けフランス語講座などは夏期講習もあり)。
 我々夫婦が受講した外国人向けフランス語講座は、市内各所の小学校の教室を利用して夜間開講されており、5つのレベルに分けられています(ただし、レベル5は上記の14区所在の本校でのみ開講。本校では昼間のクラスもあり)。我々の住む9区では、自宅から徒歩3分ほどのところにある小学校が会場になっており、大変便利です。また、フランスの小学校の校舎や教室内の様子を見ることができるという意味でも興味深い機会になりました。教室内の様子は、大の大人が子どもの机に座っているという点を除けば、歴史年表やら地図やら動詞の活用やらがたくさん壁に貼ってあるなど、日本でも同様だろうと思いますが、むしろ印象的だったのは、校舎の入り口を入ってすぐのロビーのようなところに、大統領の肖像写真、共和国を象徴するマリアンヌの像、そしてフランス人権宣言が掲げてあったことで、フランス近現代史においては公教育がカトリック教会に対抗する上での最前線となり、象徴的な場となったことを想起させられます。
 ところで、この講座の最大の長所は、なんといっても費用が安いことで、今回受講したフランス語講座は、1学期90時間の授業で120ユーロ、すなわち、1時間当たり1ユーロ強というただ同然の費用でしっかりフランス語を学べます。我々の場合、従来2人で一般の語学学校に通っており、ユーロ高の折からその費用は相当なものに上っていただけに大変助かりました。1クラス辺りの人数は、名簿上では20人以上いて若干多いように思いますが、特に、開始後しばらくたつと出席人数は10人強という状態になり、民間の語学講座と遜色ないのではないでしょうか。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。